• 第1回講演討論会

     

    「軍と学の接近と学問の自由-その歴史と今-」

     

        講 師 池内 了(総合研究大学院大学名誉教授・

                      名古屋大学名誉教授)

    日 時 2016年 1月 6日(水) 18 30~20:30

    場 所 福岡大学中央図書館多目的ホール

    主 催 平和を愛する福岡大学人の会  

     

     

    ■大学の未来を考える講演討論会を開催しました(2016年1月6日、福岡大学中央図書館多目的ホールにて)。

     多数のご来場を頂き、アンケートにも多数のご回答を頂きました。学生や卒業生の方も含めて、幅広い方々にご参加頂きました。ありがとうございました。

     

    ■今回のテーマは、「軍と学の接近と学問の自由-その歴史と今-」です。池内了先生(天文学・宇宙論、総合研究大学院大学名誉教授・名古屋大学名誉教授)をお招きして講演して頂き、会場からの質問にお答え頂きました。

     

    ■講演では、第二次世界大戦時から現在までの、軍事と大学・研究者の関係が説明されました。防衛装備庁や米軍の関係機関から科学研究への積極的な支援が行われており、そのような支援について、科学者として、大学として、社会としてどう考えるか、問題提起をして頂きました。

     

    ■現状の説明は生々しく、こんな技術も軍事的な利用が考えられているんだと、驚くことがたくさんありました。

     たとえば、ロボット・コンテスト。米国国防高等研究計画局(DARPA)は、福島原発事故を受けて、2012年から災害用ロボットのコンテストをしています。ちなみに東大発のベンチャー会社が優勝したそうです。どうして大学ではなくベンチャー会社が応募したのかというと、軍からの資金によって行われる軍事研究だから、東大は大学からの応募を認めなかった、とのことです。

     ほかにも、昆虫サイズの小型飛行体、無人ボート競争、マッハ5超のサイクルエンジンなど、実に多様で最先端の科学研究が軍事的に注目され、大学・研究者との共同研究の対象になっていることが分かりました。

     

    ■池内先生ご自身が科学者であることから、科学者の気持ちや研究のあり方について、とてもリアルなお話しがありました。

     軍事研究が科学者を惹きつけるのは、潤沢な研究費の取得。人によっては、愛国心の満足という魅力もあるかもしれない。

     しかし、研究業績はいずれ秘密化されていく。また、採用枠が狭く競争が激しいため、そこでの採用にこだわることで生き残れるのか疑問。さらには、採用から外れたら次は採用してもらおうと、研究内容がエスカレートし、軍事開発に巻き込まれていくという問題がある。

     

    ■最後に池内先生は、研究は社会から委託されているものであり、科学や技術が人々のためになるかどうか、科学の成果がどう使われるのかを考え、常に問い直すべきとされました。科学や技術が軍や国など特定の集団のものになるのは、多くの人々に対する裏切りではないか、と指摘されました。

     

    ■講演の後、会場から質問が出され、池内先生からお答え頂きました。以下のような質問がありました。

    ・そもそも軍事研究がなぜ問題なのか。もともと研究の自由があり、また、研究費の削減の中で、資金提供によって研究が進展するという魅力がある中で、軍事研究を避ける根拠をどう見出していけばいいか。

    ・選挙制度等いろいろと問題はあるにせよ、政府は民主的に選択されている。その政府によって軍学共同が進められていくことは、国民の意思ともいえる。それをどう考えるべきなのか。

    ・科学研究の軍事利用は理系専攻者にとってシリアスな問題である一方、人文系専攻者にとってどのような意味があるのか。

    ・軍事研究は大学に対してどのような影響を与えることになるか。それをどう考えていくべきか。

     

    ■今回の講演討論会は、「平和を愛する福岡大学人の会」の第1回の企画であることから、講演に先立ち、会を代表して、林政彦理学部教授より、会設立の趣旨と今回のテーマの趣旨が説明されました。

     

    ■当日の様子と資料は以下をご覧ください。

    第1回講演討論会

    「軍と学の接近と学問の自由

         -その歴史と今-」

    講義資料

    こちらからダウンロードできます。

    アンケート結果

    当日実施したアンケートの自由記入欄で、参加者の皆さまからいただいたご意見です。

  • 第2回講演討論会

     

    「ドイツ ワイマール共和国の歴史的再検討

    -その時代に生きた人々-」

     

       講 師 石川捷治(九州大学名誉教授・政治学)

    日 時 2016年 4月25日(月)18:30~20:00

    場 所 福岡大学中央図書館多目的ホール

    主 催 九州歴史科学研究会      

      平和を愛する福岡大学人の会

     

     

    ■第2回講演討論会を開催しました(2016年4月25日、福岡大学中央図書館多目的ホールにて)。

     前回と同じく、各方面から多数のご来場を頂き、アンケートにも多数のご回答を頂きました。ありがとうございました。

     

    ■今回のテーマは、「ドイツ ワイマール共和国の歴史的再検討-その時代に生きた人々-」です。

     石川捷治先生(九州大学名誉教授・政治学)をお招きし、ご専門であるナチ前夜のドイツにおける政治状況についてご講演いただき、その後フロアからの質問にお答えいただきました。

     

    ■講演では、第一次世界大戦(1914-1918)後のドイツにおいて、どのような形でワイマール共和国(1918-1933)と呼ばれる体制が成立したのか、そしてこの共和国が、当時「世界で最も民主的」と呼ばれたワイマール憲法を擁しながらも、どのような形で崩壊へと突き進んでいったのかが、豊富なデータをもとに解説されました。

     

    ■石川先生は、まずもってワイマール憲法の背後に存在した権力関係を問題とされます。ワイマール共和国は1918年11月に始まるドイツ革命によって成立しますが、この革命を通じて軍指導部などの旧支配層や帝政派が一掃されることはありませんでした。むしろ政権与党であるドイツ社会民主党は、国家の安定を第一と考え、旧支配層や帝政派との協力関係を強めていきます。そして彼らは、革命のさらなる進展を目指すスパルタクス団(のちのドイツ共産党)を武力で鎮圧したのです。これ以降、ドイツでは体制のあり方をめぐって諸勢力が絶えず反目し合い闘争を繰り広げるという、不安定な政治状況が続いていくことになります。

     

    ■また先生は、ヴェルサイユ体制と呼ばれる当時のヨーロッパをめぐる国際体制をも問題とされます。大戦終結後、英・仏・米などの戦勝国は、敗戦国ドイツに対して過酷な要求を突き付けました。具体的には、植民地の放棄と領土割譲、軍備制限、そして当時の国家予算の25 年分にあたる莫大な賠償金の支払いなどです。こうした要求はドイツを多くのドイツ国民の激しい怒りと憎悪を買い、それはやがてアドルフ・ヒトラー率いるナチ党(正式名称は「国民社会主義ドイツ労働者党」)が台頭する素地を形成していくことになります。

     

    ■ただ、ワイマール共和国は一時的にではあれ、こうした初期の混乱を乗り越えることができました。たとえば1920年3月、戦前への回帰を目指す帝政派が起こした反政府クーデタ「カップ一揆」に対しては、多くの労働者が党派を超えてこれに抵抗し、見事クーデタを失敗へと追い込みました。石川先生によれば、これは反動に対する統一行動、統一戦線の現実性と有効性を示した歴史的な出来事でした。

     続いて1923年11月には、ヒトラー率いるナチ党が反政府クーデタ「ミュンヘン一揆」を決行します。これはイタリアのファシスト・ムッソリーニの「ローマ進軍」を模倣したものでしたが、このときのナチズムはイタリア・ファシズムのように政権を獲得するに至らず、クーデタは失敗に終わりました。そしてナチ党と対立関係にあるドイツ共産党は、これ以降、ナチズムの力を過小評価するようになります。石川先生はこの点に、のちのナチ政権成立の重要な背景を見出されます。

     

    ■なぜナチ党への過小評価がその台頭と関係してくるのでしょうか。石川先生によれば、1929年10月に世界恐慌が到来し、安定化の兆しを見せつつあったドイツ経済がふたたび混乱の渦に巻き込まれるなかで、ナチ党は息を吹き返し、大衆の憎悪や嫉妬といった「劣情」を養分としながら成長していきます。その結果が1932年7月31日の国会議員選挙であり、ナチ党はそこで総議席数608のうちの230議席(得票率37.3%)を獲得し、ついに第一党に躍り出ました。 

     これに対し、ドイツ社会民主党とドイツ共産党という二大労働者政党は、一致団結してナチズムに対抗するのではなく、むしろお互いを「裏切り者」だと批判しました。彼らはあまりにもナチズムの力をみくびり、またあまりにも憎みあっていたのです。

     

    ■ただ、ヒトラー率いるナチ党も順調にいっていたわけではありません。石川先生は、ナチ政権成立前の最後の国会議員選挙である1932年11月6日選挙の結果に注目します。そこでのナチ党の得票率は、1932年7月31日選挙の37.3%から33.1%にまで下降し、獲得した議席も総議席数608のうちの196議席にとどまりました。逆に勢力を延ばしたのはドイツ共産党で、自身最高の100議席(得票率16.9%)を獲得します。またドイツ社会民主党も121議席(得票率20.4%)を維持します。つまりこの二大労働者政党の議席をあわせると、221議席(得票率37.3%)となり、もし仮に両者が選挙でタッグを組んでいれば、ナチ党を上回ることができた可能性が高いわけです。

     

    ■しかし、現実はそうなりませんでした。むしろこの選挙結果を自身の教訓としたのはヒトラーで、彼はその後支配層への接近をより一層強めていき、ついには大統領ヒンデンブルクに取り入り、自分を首相に任命させることに成功します。こうしてナチ政権は歴史上にその姿を現し、その後自分たちにとって都合の悪い人々を暴力と言論統制で弾圧していきました。

     

    ■なぜこんなことになってしまったのでしょうか。石川先生曰く、民主主義からファシズムへの移行に際しては、「不可逆点」、つまり二度と引き返すことのできない「ノーリターン・ポイント」が存在するといいます。そしてワイマール共和国の時代に生きた人々は、そのことについてあまりにも無自覚でした。彼らはいつかナチズムが去り、すべてが元通りになる日がやってくると思っていました。しかしその日は訪れず、ドイツはやがて第二次世界大戦へと突入し、そして破局への道を突き進んだのです。

     

    ■石川先生は最後に、ワイマール共和国の経験をふまえ、「統一戦線」と「民主主義」についてお話をされました。

     

    ■当日の様子と資料は以下をご覧ください。

    第1回講演討論会

    「ドイツ ワイマール共和国の

     歴史的再検討

     -その時代に生きた人々-」

    講義資料

    こちらからダウンロードできます。

     

    参考文献リスト

     

    池田浩士『ヴァイマル憲法とヒトラー:戦後民主主義からファシズムへ』岩波書店,2015年

     

    石川捷治[他]『時代のなかの社会主義』法律文化社,1992年

     

    石川捷治/平井一臣編『自分からの政治学』改訂版,法律文化社,1999年

     

    石田勇治『20世紀ドイツ史』白水社,2005年

     

    石田勇治『ヒトラーとナチ・ドイツ』講談社,2015年

     

    林健太郎『ワイマル共和国:ヒトラーを出現させたもの』中央公論社,1963年

     

    高田博行『ヒトラー演説:熱狂の真実』中央公論新社,2014年

     

    村瀬興雄『ナチズム:ドイツ保守主義の一系譜』中央公論社,1968年

     

    村瀬興雄『アドルフ・ヒトラー:「独裁者」出現の歴史的背景』中央公論社,1977年

     

    山口定『ヒトラーの抬頭:ワイマール・デモクラシーの悲劇』朝日新聞社,1991年

    アンケート結果

    当日実施したアンケートの自由記入欄で、参加者の皆さまからいただいたご意見です。

  • 第3回講演討論会

     

    「「イスラーム国」出現が示す中東の秩序崩壊

    -イラク戦争の後遺症-」

                 

                 講 師 酒井啓子(千葉大学教授・国際政治学)

                 日 時 2016年7月16日(土)15:00〜17:00

                 会 場 福岡大学A棟A101教室

                 主 催 平和を愛する福岡大学人の会

                     九州歴史科学研究会

     

    第3回講演討論会

    「「イスラーム国」出現が示す

      中東の秩序崩壊

      -イラク戦争の後遺症-」

    講義資料

    こちらからダウンロードできます。

    アンケート結果

    当日実施したアンケートの自由記入欄で、参加者の皆さまからいただいたご意見です。

  • 第4回講演討論会

     

    「沖縄で今 何が起きているのか

      -日米地位協定と沖縄の声-」

     

                 講 師 我部政明(琉球大学教授・国際政治学)

                 日 時 2016年 10月15日(土)14:00~16:30

                 場 所 福岡大学中央図書館多目的ホール

                 主 催 九州歴史科学研究会

                     平和を愛する福岡大学人の会

    第4回講演討論会

    「沖縄で今 何が起きているのか

    -日米地位協定と沖縄の声-」(講演編)

    第4回講演討論会

    「沖縄で今 何が起きているのか

    -日米地位協定と沖縄の声-」(討論編)